恋する乙女・東雲里緒菜~ふしだらな女と呼ばせませんわ!~

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イギリスで迎えたクリスマスイヴ。 おばあさまの屋敷から見る景色は、一面の雪に覆われたイギリスの街。 もうじきクリスマスになろうとする時間帯だけれど、街は寝静まる様子がない。 明々としたライトが街のあちこちで照らされていて、どんな宝石よりも美しい光を放っている。 その光を隠すように、今もまだ雪が舞っている。 日本では雪は降ったのかしら? 暖炉の火で部屋は暖かな空気で満たされていても、景色を眺めていると寒い気がしてくる。 ガウンを身体にきつく巻き付け、寒くもないのに身震いをした。 ――コンッ、コン ゆっくりとした調子のノック音がして、ドアの方に向く。 こんな夜中にどなたかしら? わたくしはその疑問のままに、ドアの向こうへと語りかける。 「どなた?」 .
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