恋する乙女・東雲里緒菜~ふしだらな女と呼ばせませんわ!~

5/28
前へ
/136ページ
次へ
ソファーに座るわたくしに、雅が紅茶を煎れてくれる。 ほんのりとハチミツの甘い匂いが漂う。 「お体が温まるように、ハニーティーをご用意いたしました」 わたくしの想像通り、ハチミツ入りのお茶でしたわね。 「雅も一緒に飲みませんこと?」 「え? あの、ではもう1つのは私のでしょうか?」 「ええ。駄目……でしたか?」 戸惑う雅に、わたくしも戸惑ってしまう。 今日はクリスマスイヴですもの。 普段はお茶には誘いませんが、今日くらいはと、わたくしにしては大胆な行動に出てしまったけれど、迷惑だったかしら……。 「いえ。では、失礼致します」 雅はわたくしの不安を振り去るように柔らかく笑い、向かい側のソファーに座った。 ……良かった。 断られたら、どうしようかと思いましたわ。 .
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1339人が本棚に入れています
本棚に追加