俺がアイツを好きな理由〈ワケ〉

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俺はまた身体を傾けた。 そこで見た光景に眼を丸くする。 左側に居た三木の顔に、絡まれていた女とは違う女がメニューを押し付けていた。 「何すんだよ!」 隣の橋本が凄む。 その凄みに動じることなく、メニューを押し付けた女はにこやかに笑った。 「お客様。こちらは女性ではなくハンバーガーをお売りしています。ですのでこちらのメニューからお選び下さいぃぃ!」 「見えっ……見えない~~」 三木の顔にぐりぐりと押し付けているようで、力が入るのと一緒に語尾にも力が入っていた。 三木は苦しそうにもがいている。 「この女ぁ!」 橋本はカウンターから身を乗り出し、女の胸倉を掴む。 俺の前に並ぶ客が騒然とするも「ちょっとタイプじゃねーかぁ」の言葉に何人か脚を滑らせていた。 .
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