俺がアイツを好きな理由〈ワケ〉

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「桐島さん! 何をしているんだ!!」 奥の厨房から騒ぎを聞き付けた中年の男がやってきた。 「店長! この……馬と鹿が……」 「こら、桐島さん!! お客様に馬面と鹿面は失礼でしょう」 1番失礼な店長の言葉に失笑が起こる。 馬面こと三木と鹿面こと橋本は固まる。 「ぷっ。誰も言えなかったことを言っちゃったね~」 瑞穂が可笑しそうに肩を揺らす。 「お客様! たたた大変失礼しました。本日のお食事代はサービスさせて戴きますので。ほら、桐島さんも謝って!」 「どーしてですか!? この馬鹿共がいけないんですよっ!」 馬と鹿を分けた意味もなく、馬鹿と言い放つ女の言葉に俺もつい笑ってしまう。 「もー、キミはいいから下がりなさい!」 「えーーー!?」 「あっ! 蓮香ちゃん! ありがと」 絡まれた女に手を振りながら、そいつは店長に引きずられて行った。 .
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