第一章

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その時、僕は殺気を感じたんだ。 正確には殺気に近い視線だ。 それは、おばあちゃんが持ってきてくれた晩ごはんを食べようとした時だった。 僕の家は田舎のそれも郊外にあるから、普段から人通りも少なく、夕方には誰も通らないところなんだ。 でも今日はなんだかいつもと違う。匂いを嗅いで確かめたけれど視線の相手は上手に風上に隠れているようだ。 その視線は、おばあちゃんがご飯をおいて家に入るとより強く感じられた。 僕は、たぶんこの辺にいる野良犬でも、お腹を空かして覗いているんだろうと考えた。 僕は、家の周りは柵がしてあるからと、視線の相手を気にするのをやめ、ご飯を食べることにした。 まさにその時だった。
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