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僕は一番好きな食べ物 鶏のささみ にかぶりつこうと口を開けた時だった。
一瞬にしてささみが消えてしまった。
それも二つ同時に。
僕は目の前のささみを、灰色の物体がかすめて行くのみたんだ。
まるで疾風みたいだ。
僕は野良猫がかすめ取ったとかと思ったが、近所ではあんな灰色のネコは見かけないし、妙に丸っこい。
ささみをくわえて逃げ去ったあいつは、木の下の茂みに隠れている。
僕のつながれてる鎖がとどかないのを計算してるのだろう。
素早いだけじゃなく頭も良いみたいだ。
まだ子供とはいえ僕も犬だ、ネコに馬鹿にされたままじゃ犬のプライドが許さない。だって悔しいじゃないか。僕は相手はどんなヤツか気になった。
おい、姿をみせろ泥棒ネコ、犬の僕からささみを盗むなんていい度胸だな。
出てきて僕と勝負しろ。
僕はこのままじゃ負けたみたいに思われるのがしゃくで、アイツに吠えたんだ。
ずうたいばかりデカくってほんとのろまね。しかもネコに盗られたって思うなんて、いつもネコに馬鹿にされてるのかしら?アンタって駄目ね。
ほんとバカ。
ヤツは吠えてきた。
えっ!?犬?
しかも女の子??
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