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7月21日(金)8時22分。
「おはよー」
少女は教室の扉を開けて、近くにいた友達に声をかけた。
とくに小さな声で言ったつもりではなかったのに、彼女の声のほとんどは周りに吸収されてしまった。
この6年2組の教室はいつもより騒々しかった。
それもそのはず、誰もが待ちに待った夏休みが明日から始まるのだ。
話題も当然、夏休み中の予定についてだ。
それと同時に、つい昨日出された、山のような宿題をどうするか真剣に話し合う姿もみられる。
外のジリジリと焼けるような暑さと、ひっきりなしに鳴いているセミの鳴き声も重なってか、教室中はただならぬ熱気も帯びていた。
その中でも一際大きな声で喋る少年が、1人。
名前はユーキ(岡本雄希)。
少女、マー子こと本城真那は、そのユーキの頭を軽く小突いてから、彼のすぐ後ろの机の上にランドセルを降ろして席についた。
ふわりと彼女のポニーテールが揺れた。
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