出会いそして別れ…

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――――――― どうしよう 私はこの人を殺さなくてはいけないのに もう数分経つが私は彼を殺せない 気が付くともう一時間程経っていた 私は彼を見つめたまま鎌を持つ手に力を入れる こんな形で出会ってしまった事が悔しくて… こんなに愛しい彼と同じじゃないのが悔しくて… 死神に生まれた自分が悔しくて… 悔しくて溢れそうになる涙を必死で堪える 長い静寂を彼が破る 彼の言葉はやはり意外なもので 私の名前を聞いてきた 私は直ぐに答えた 彼に私の事を少しでも知ってもらいたくて 彼は私の名前を綺麗だって言ってくれた 嬉しくて涙が出そうになる 彼は私の事を愛華ちゃんと呼んで良いかと尋ねてきた 彼が私の名前を呼んでくれた 尋ねられただけなのに 名前を呼ばれただけなのに こんなにも嬉しい 私も彼を呼びたかった だからこう言った 愛「……良いけど、私も正谷って呼んで良い?貴方も呼び捨てで良いから」 自分で言った後恥ずかしくなった でも、彼の名前を言えた 名前を呼んだだけなのにすごく楽しい気分だった 彼にもう一度呼んで欲しい、もう一度彼を呼びたい そんな事を考えていると彼が叫んだ 正「愛華!」 私は、少し驚いたがそれより嬉しかった 彼に呼んでもらえたことが 彼は私がなに?と答えると 直ぐに口を開いた 彼の言葉は私が欲しくて堪らなかった一言だった 『付き合ってください』 私に断る術は無い 断れる筈が無かった 私は嬉しくて涙が頬を流れる 彼は頭をこれでもかってくらい下げているので 私の顔は見えない 私は彼に抱き着き 彼に言った 愛「私を必ず幸せにして下さいね」
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