標的 1

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隣では賞品扱いされて怒った京子がいる。 「最低の男ね」 『本当だよ。許せないね』 今にもつかみ掛かりそうな京子を花が押さえて、僕は持田先輩の様子を伺う。 ……あくどい顔だな きっと真面目に勝負する気はないだろうね。 『…あれ?』 沢田がいない…… どこ行ったんだろう? 持田先輩も気付いたようで、部員に聞くとトイレに行ったみたいだ。 クラスメイトの話を耳に挟んで愕然とする。 ………逃げ、た?こんな状態の京子を置いて? 「これで不戦勝だ!!京子はオレのモノ!!」 『…待ちなよ』 ギャハハ!と笑う持田先輩を、思い切り睨みつけた。 京子をお前みたいな男にやるもんか。 『沢田が戻るまで、僕が相手になるよ』 もし、戻って来なくとも…僕がキミ相手に負けることはないけどね。 (宝が?ケガするぞ?) (へぇ…剣道部の主将が、僕に負けるのコワイ訳?) (宝ちゃん…カッコイイ!)(京子……)
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