オレとショータさん

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ケースに2つ入りのケーキを自分とこの店で買ったのは秋口だった。 ショータさんの、誕生祝いだ。 …結局、小川さんとはあれきりだったらしい。 笑いながら「今日、オレの誕生日」なんてレジに現れてから2時間後、マンションのエレベーターを上がっていた。 高そうなワインはどこぞからかもらったものらしく、あけるのを躊躇ったがショータさんはあけてしまえと、結局朝までに3本空にした。 酔っ払ったショータさんを次に見たのは、秋の終わりだった。 高校の時の同級生の友達。 2年半ぶりにできたオレの彼女、ナナミのことだ。 男っぽいけど気が利く子だ。 一緒にいていやすいし、いっつも笑ってばかりで気持ちがいい。 「ハルくん、もちょっとでしょ?駅前で待ってる」 ちょっと近くまで来たからと。 そう言ってくみちゃんは小さく手を振った。 勿論、付き合いたてのころはこんなもんだ。 昨日も会ったけれど短い時間でも、今日だって会いたい。 オレだって、嫌な気はしない。 オレも小さく手を振って。 「……ハルくん?」 「あ、ショータさん、いらっしゃい」 「……彼女?」 「え、あ、まあ、」 ショータさんは毎月買ってる雑誌を黙ってレジに置いた。 それから、しばらく。 「あ、いつものタバコもお願い」 何かの間。 不自然な。
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