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「初山別村」 朝の農協前は活気に満ちる
採れたての野菜を農家の皆が運び込む
しかし…この日は様子が少しだけ違っていた
毎日 真っ先に野菜を運んでくる"田辺幸吉" 村の皆からは"こうきっつぁん"と呼ばれる爺さんの姿がないのだ…
『おぃ "こうきっつぁん"遅いなぁ』
『なんだぁ 酒でも飲み過ぎたかぁ』
『悪い姉ちゃんにでも掴まったんでねぇの』
笑いながらの噂話しは時間が経つにつれ不安感を募らせる
『脳いっけつとかで倒れてんでねぇの』
『ちょっと見にいくべさ』
皆は"こうきっつぁん"の家に向かう事にした
車を走らせる ほんの少しの時間が、もどかしい程に永く感じる…冴えない顔と沈黙が支配
ゴトゴトと軽トラックの揺れる音だけが響く
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