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山から降りると村の温泉で疲れを癒す
健太にとって これも毎日の日課になっていた…見慣れた村人達の姿がそこにある事が、山の奥深く孤独と恐怖に支配された者に今日も生きていると教えてくれるのだ
『おめぇの肩の傷は いつ見ても凄げぇな』隣で湯に浸かる頑作じいさんがポツリと呟く
健太は ゆっくりと瞼を閉じ28年前 秋のピッシリ山を思い出していた…
寒く雨ばかりの夏を過ぎ...エサを求める熊にとって マタギ親子が着ける熊避けの鈴は格好のエサの場所を教えていた
2mを超える山の主は唐突に現れた...健太の父"又一"は素早く銃を構え引き金を引く
カチッ
いつもの勇ましい音は聞こえず シケッた音が二人を恐怖の底に引きずり落とす
『しまった!!』
又一の声と同時に 黒い悪魔は丸太の様な腕をオヤジに振り落とす…そのまま隣に居た 健太の肩口を横に振り払う
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