1人が本棚に入れています
本棚に追加
「プルル~、プルル~」
暫くして、俺の携帯が鳴り出した。
「ハイ」
俺は低めのトーンで電話に出た。
「涼介、来週の土曜日空いてない?」
電話の相手の名前は理紗。
一応は俺の彼女だ。
理紗とは高校の同級生で、かれこれ8年の付き合いになる。
理紗は高校に入学した時から俺に好意があったらしく、高校卒業の日にその想いを伝えられた。
最初の頃は先程の例に漏れず、ピュアな恋愛と言えるものだったが、またしても先程の例に漏れず、現実の恋愛へと姿を変えていった。
今は好きという気持ちがあるかさえ分からず、惰性で付き合ってると人から言われても、否定出来る自信が無いのが実情だ。
「特に予定は無いけど、どうしたの?」
俺の低いテンションに反して理紗は明るく答える。
「涼介の観たがってた映画のチケットが取れたんで、一緒に行かないかと思って。」
「いいよ。じゃあ来週の土曜日いつもの所で。」
それだけ言って、俺は電話を切った。
最初のコメントを投稿しよう!