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「ねぇ、…?」
「………………?」
「好きだよ?」
なんて言葉、
言い慣れてる
聞き慣れてる。
そんな確認的な
行為は、もう
必要としなくなって
傍にいるのが
当たり前に感じた
二回目の春を過ぎた頃…
「星…、見に行かない?」
ふと、きみが呟いた。
「え…、星っ?」
当然ながら、
俺は驚いてみせる。
読み掛けの雑誌から
視線を上げて
向けたのは、窓の外。
「星って…、なんで?」
だって、外は
土砂降りの雨。
なんで急に?
なんていう疑問を
浮かばせて、
きみに問い掛ける。
「だって…」
「………………」
「見たいんだもん」
返ってきた言葉は
実に単純なもので、
思わず笑みが零れる。
「なんだよ、それ…
子どもかよ」
そんな俺を
真似るように
きみは笑う。
「だから…、急に
見たくなったの」
かと思うと、今度は
軽く唇を尖らせて
その頬を膨らませる。
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