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「…着いたよ」
あれから、結局
折れたのは…俺。
絶対、星なんて
見えるはずない。
なんて思いながらも
無邪気なきみの笑顔に
負けた、俺。
「おーい、…
着いたってば」
土砂降り雨の中、
車を走らせて数十分…
目的地に到着。
なのに、
助手席のきみは
軽く夢の中。
「あっ!流れ星…」
「え…、嘘っ!?」
耳元で、そっと
ついた嘘に
きみが意識を起こす。
「なんてね、」
「もう!…
びっくりするじゃん」
「うっ、…そ」
そんなきみを見て
笑える、はずなのに…
そうできないのは
今しがた
降っていた雨が
何事もなかった
かのように
止んでいたから。
「どうしたの?」
「………………」
あれだけ
降っていたのに
なんてタイミング…
まるで、俺たちに
流れ星を
見せたいかのような…
「あっ、雨止んでる」
「…ぅわっ、」
驚いた表情のままの
俺を置いて
再び輝き出した
きみの瞳。
「なっ、…なに?」
軽く繋がれた…
この手のひらの意味は?
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