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何を隠そう、その人も私を嫌っている人だ。
その人は若いながらに入社歴が長く、お局的な感じの人だ。
店長よりも長く居る為に、店長も頭が上がらない雰囲気はあった。
店長はその人と私が組むようにシフトを作っていたが
その人はいつもツンツンしていて、私はその人が怖かった。
作業をしながら私を監視し、少しでもミスをするとまた怒鳴る。
そのうち『あなたの返事の仕方が気に入らないから何とかして』と言う始末。
『はい』という返事をどう何とかすればいいのだろう。
私は監視されている視線に緊張して、動作が遅くなり、やらないようなミスをする(現にその人が見てない時は手がスイスイ動く)
怒鳴られ、怒鳴られ、怒鳴られ…
また怒鳴られやしないか。
またミスしたらどうしよう。
不安は指先を伝い、またミスを誘い続けた。
『向いてないんじゃない?他探せば?』
…………。
向いていないのではなく、あなたが怖いからだ。
そう言えないまま、私はまたも解雇となる。
しかし、解雇になって私はホッとしていた。
もう怒鳴られなくて済む……。
そればかりがタダ働きもしなくて済む、と。
私はこの仕事(制作)が遅かった。
だから通常より二時間早くきて、通常より一時間遅く帰る。
トータル三時間(酷くて四時間)の時間外労働だ。
だが
『あなたが遅いんだから、あなたの責任でしょ。嫌ならもっと早くやれば?』
という言葉と共に…
私は『通常時間分』でないとタイムカードを押させてもらえなかった。
早くやりたくても
萎縮する気持ち。
不安、畏れ、恐怖心。
先行し膨らみ続ける毎日…
挙げ句毎日三~四時間タダ働き。
そう…私は此処だけは
『クビになって良かった』
と思ったものだ。
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