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カラオケ屋は店長とうまくいかず、ほぼ店長が辞めさせたいから辞めさせられたような物だった。
とはいえ、まだ十代で社会人デビューしたての私にとっては
『なんかね、あれ…キミはホラ、声小さいしさぁ…動作もなんか…うん、遅いからこれ以上更新出来ないわ』
との言葉すら
『社会ってこういうモンなんだ』
で済ませた。
過去の自分の何と浅はかな事か。
しかし自分以上に声の小さな店長に『声小さい』と言われたのには正直未だに憤りを感じていたりする。
しかし、実質上解雇(クビ)になってしまったのだ。
この頃の私には反論も反発もする度胸も勇気も語彙すらも持ち合わせてはいなかった。
続いてはとんかつ屋。
これは単純に…テンポが合わなかったのと
私の行動力不足だろう。
私は作業をしながら
(次はこれをやろう)
(これの次は…あれだ)
と算段を練り、無言で実行するタイプ。
その為に
(次は○○やろう…)
『あ、次は○○やってね』
『(言われなくてもやるのに…)はい』
(次は□□をやろう)
『その次は□□だから』
『(…だから解ってるよ…)はい』
という会話が続く。
後日
『言わなきゃやらないんだから!』
『言わなきゃ解らないんだから!』
と怒鳴られた。
…そう、私は解っているにも関わらず、解っていないと思われていたらしい。
その為、『はい』と言うと怒鳴られるので
返事を変えた。
『次は△△やってね』
『(いや…だからやるって、解ってるって)これからやる所です』
『はい』ではない返事。
しかし『解っている、理解している』事を伝えるに値する(と思われる)返事。
大満足の私に返ってきたのは――
『はい、って言えないの?』
怒鳴り声。
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