零章「Prologue」

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数学、近代史と二つのテストを終えた教室内は妙にざわついていた。 担任の指示が飛び、続いての身体検査の為に女子は着替えを持って教室から更衣室へと移動、男子は教室で着替えを始めるが、それぞれから文句や不満が続出している。 健二も教室内の他の生徒と同様に不満を持ったようですぐに柊の席にやって来る。 「あれどう思うよ?」 健二があれと言っているのは二限目に行われた近代史のテストの事だろう。 「Albino大戦が開戦した事によって生じたメリットとデメリットを挙げ、自分の意見を原稿用紙三枚以内でまとめよ。 あんなのテストじゃなくね?」 確かに配られた問題用紙を見たときのインパクトは、今まで受けてきたどんなテストよりも衝撃的だった。と、柊も思った。 しかし、今回のようなテストなら自分の知識が少なくても、ある程度の事が分かっていれば、書き方によってはどうとでも出来るので助かったと言えば、それも事実であった。 「まぁ、色々意見はあると思うけど、赤点は無さそうだから、俺は良かったけど?」 「それについては俺も賛成だ!」 どうやら健二も出来は悪くなかったようだ。 だが、健二はしかしと言って続ける。 「生徒の為に頑張ってテスト問題を作るのが先生ってもんだろう!なのに、あの手抜きっぷり!俺はそこにムカついてんだよ! 数学を見てみろ!俺は冷や汗が出るほど、分からん問題があったぞ!」 なるほど、そっちは赤点か。柊は制服から指定ジャージに着替えながら思った。
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