三章「Group」

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「え!?何々?それって聞いてもいいの?」 「そんなに面白い話でもないよ? エリナさんの妹が俺と同じ年でさ、小さい頃から何やるにも一緒にいて、こないだまで高校だって一緒だったんだよ。 向こうに姉がいて、俺に妹がいたってのもあるかもしれないけど、年一緒なのになんか頼りないって言うか、俺がしっかりしなきゃ!って思わせる子でさ。」 雅は振り返ったままニヤニヤした表情で返す。 「何ですか?柊さん、惚気(ノロケ)ですか?」 「いや、雅が聞きたいって言ったから話したんだけど?」 「……そうでした。」 雅は身体を再び前へと戻すと、腕を組み頭を上げて何かを考え始める。しかし、先程とは違いすぐに向こうから言葉がやって来る。 「どういうことなんだろうね?」 柊は突然の話題変更にも慌てず、今日のことだろうと理解する。 「俺も散々考えてみたけど、全然。」 カゴメと名乗った少女の命を救った。ということさえもそれが真実なのかそれともすべて夢だったのか、そんな風に考えてしまう。 しかし、自分と雅は無事だった。それだけでも十分だと柊は思う。
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