零章「Prologue」

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「……研究所計画発表は大戦前38年で、建設終了が大戦前21年。 爆発事故が大戦前16年?」 健二は最後まで聞き終わると、難しい顔をして柊を睨む。 五秒も間を置いて、それからゆっくりと口を動かし、残念そうな表情で言う。 「……正解! なんだよ。大分焦ってる感じだったのに近代史全然余裕じゃん! さては、数学の方がヤバイんだろ?」 「年号覚えるだけなら、小学生でも出来るって。 数学も近代史も赤点を取らないくらいには勉強したつもり。」 言っている事は大したこと無いのだが、健二にはイラッと来たのだろう。 さっきよりも少し声のボリュームを上げると、柊の言葉には返事もせずに続いての問題を読み上げる。 「研究所を作るに至り、業務提携をした企業三社を答えろ!」 睨みを利(キ)かす健二に、なんで怒ってるんだよ。と前置き、悩む様子も無く答える。 「大黒、Venzai、カ.ナイア。」 「ブッブー!大黒自動車、Venzai、カ.ナイア製薬会社でしたー!」 健二のドヤ顔に柊もイラッとしたらしく、無言で教科書を奪い返し、先程まで読んでいた続きから読み直す。
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