零章「Prologue」

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しばらく健二が黙っていてくれたお陰で、柊は大分集中して知識を吸収することが出来たのだが、ただ学校に向かい歩いているだけの健二はやはり暇なようだ。 「今日ってテスト二つだろ? それ終わったらすぐ帰れるんだっけ?」 集中を邪魔された柊は溜息と共に肩を落とし、こいつ本当にダメだなと寂しそうな表情で健二に伝える。 「テスト終わったら身体検査だよ。」 「なんでそんな嫌そうな顔してんだよ? 身体検査か、面倒だな。早く帰ってゲームの続きやりたいんだけどなぁ!」 どうやら健二が柊の表情から気持ちを読み取るにはもう少し時間が必要なようだ。 柊は再び顔を教科書に向け、目を落とし、近代史の中でも核となる部分を読んでいく。 詳しくは化学などで習う事になるのだが、近代史の中でも軽くAlby(アルビィ)について触れておこう。 人間には二種類あり、一つはAlbyに耐性がない者。そして、もう一つが耐性がある者。 耐性がない者がいくらAlbyを摂取しても、身体に影響は全く無い。 逆に耐性がある者がAlbyを摂取すると、身体に変化が現れる。 その変化が、常人を凌駕する特殊能力の発動である。 特殊能力の使用が可能になった人類を総称してこう呼ぶ。 〔Albino(アルビノ)〕と。
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