その人猫、八咫烏をしらず

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ヤタ目線 「つっ司!!!司ぁああああああああああああああああああああああああああああああああ」 思わず俺は叫んだ。 俺は、コイツを見守らねぇといけないのに……!!! ヤタは苦々しく顔をゆがめる。コイツは自己治癒の力が高いから心臓めった刺しにでもされないかぎり死なないってあの人から聞いてるけど……これはやばいんじゃないか? 「俺が力を使う時がこんなに早く来るとはな……」 そう言ってヤタは自分の首のあたりに顔を埋めて首の羽を一本ぬく。 それを地面に落とし、自分もその羽根の上に降り立つ すると、またたく間にヤタは烏から若い男の姿に……しかしそのすがたは余りにも異風だった ヤタは、平安時代の公家のような狩衣姿。でも襟の部分は止めず着崩しているし、腰の帯は桁紐(クケヒモ)ではなく、真黒なベルトや様々な太さのひもが何本もまきつけられている。後頭部で結ばれた真黒なその髪は短く。なんとも異風な姿だ。
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