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「つ、疲れた…」
家にたどり着いたのは、真夜中に差し掛かろうかという時間。
もちろん、あれからすぐに自分の仕事場に直行しました。
数件の雑誌の取材をこなし、明日の仕事に備えて打ち合わせと下調べと勉強と。
目まぐるしい移動の途中で仮眠をとるのは忘れずに。(なんてったって、あのひとがまた来るっていうんですから)
もちろん、取材の前にシャワーを浴びさせてもらいました。
「よ…、と」
リビングのソファーに腰を降ろし、背凭れに頭を乗せて天井を見上げた。
口がだらしなく開いているのは許してください。
「マジ、ねみぃ」
ともすれは、落ちそうになる眼瞼と必死に戦って。
ぼんやりと今日一日を思い返す。
「あのひと、大丈夫だったかな…」
抱き締めた身体は、気のせいかも知れないが、また少し細くなって。
間近で見た顔も、疲労の色が濃かったような。
『セックスのせいだけじゃない』
その言葉の意味するところは、未だ分からずじまいだが。
「…まだかな」
顔の前にかざす腕時計の針は、もうすぐ午前零時をさそうとしていた。
「そうだ、」
部屋番号とか、オートロックの場所とか、色々メールした方がいいかな、と携帯を取り出して。
「………え~と」
あのひと、なんでここ(玄関ドア)のインターホンを押せたんですか?
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