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携帯と、玄関ドアに続く廊下を交互に見比べる。
昨日。
「確かピンポンは玄関のやつだった…よな?」
マンションの入り口にあるドアチャイムと、中に入ってからの玄関のドアチャイムとでは、音が違う。
住人がどちらのチャイムが鳴っているか、インターホンの受信機械まで行かなくても分かる仕組みだ。
「下(エントランス)だったかな…」
いやいや、やっぱりどう考えても。
「玄関だよな…?」
おかしい。
おかしいぞ。
ここに引っ越して、そこそこな日数が経つが、片付かないのと、ちゃんとしてからあのひとを招待したいっていう、俺の勝手なこだわりで、部屋番号はおろかマンションの場所さえ。
「教えてませんよね?」
廊下に向かって話しかける自分に、突っ込む余裕さえありません。
そもそも、俺が引っ越した事さえ最近まで知らなかったんじゃなかったか?
さらに思い付いた事実に、疑問を通りこして驚愕。
「どうなって…」
ここは一つ、玄関チャイムの音だけでも確認しようと立ち上がり。
踏み出した足を床に着けた途端。
「痛っ!」
激痛が走ったのは左の足の小指で。
「なんだよ!!」
涙目でキレかかりながら見付けた激痛の元凶は。
「……なに、これ?」
綺麗にラッピングされた。
「酒?」
らしき代物でした。
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