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細長い手提げ袋の中に、柔らかい紙でラッピングされた、これまた細長い瓶(らしき物体)。
それからもうひとつ。
同じ袋から半分飛び出している細長い箱。
明らかに俺の小指を負傷させたのはこいつだ。
「なんでこんなトコにあるんだよ…」
袋を引っ張り、持ち手を掴んで引き寄せ、痛む左足を庇いながらソファーに再び腰を降ろす。
膝の上に置いた袋は、俺でも知っている有名な店のそれで。
「へえ…」
中から取り出した箱には、有名な焼酎の名前と醸造元の印。
そして。
ラッピングされた方を取り出して、さあ、これは開けてみたものかどうかと唸り始めた時。
ピンポーン…。
聞こえたのは、一階のエントランスの方のチャイムだった。
「はい!?」
慌ててインターホンの受信機のボタンを押す。
目の前の小さなモニターには、見知ったあのひとのキャップ。
「待って、今開ける」
解錠ボタンを押して、再びモニターを見上げると、ちょうどあのひとが画面から消える所だった。
「!?」
こちらに手を振りながら。
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