入国

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汽車やら船やらを乗り継いで、 入国の門まで来るのに 8日もかかりやがった。 しかも入国口の島までは 自力で行けなんて、 …ふざけてんのか? 畜生、手漕ぎの船って 長距離向きじゃないな。 入国の手続き場には 意外と人間が少なくて、 少し驚いた。 しかし何で王立国家でないくせに 甲冑着た奴が門やら何やらを まるで置物みたいに立って 守ってやがる。 入国管理者は 秘書とか、執事みたいな感じで 「はい。入国のお手続きですね」 「お…おう…」 手続きの書類を ああだこうだしながら ふと、管理者が聞いた。 「ここでは、 自我を奪い合わなければ 消えてしまいますよ」 俺は、意味の分からない 突然の言葉に、 「……ハ? え?まじで?って何が?」 半笑いで、半ばその言葉を信じず 俺は許可書を持ち入国門に行く。
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