13人が本棚に入れています
本棚に追加
汽車やら船やらを乗り継いで、
入国の門まで来るのに
8日もかかりやがった。
しかも入国口の島までは
自力で行けなんて、
…ふざけてんのか?
畜生、手漕ぎの船って
長距離向きじゃないな。
入国の手続き場には
意外と人間が少なくて、
少し驚いた。
しかし何で王立国家でないくせに
甲冑着た奴が門やら何やらを
まるで置物みたいに立って
守ってやがる。
入国管理者は
秘書とか、執事みたいな感じで
「はい。入国のお手続きですね」
「お…おう…」
手続きの書類を
ああだこうだしながら
ふと、管理者が聞いた。
「ここでは、
自我を奪い合わなければ
消えてしまいますよ」
俺は、意味の分からない
突然の言葉に、
「……ハ?
え?まじで?って何が?」
半笑いで、半ばその言葉を信じず
俺は許可書を持ち入国門に行く。
最初のコメントを投稿しよう!