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門番に許可書も渡すと、
「ようこそ、我れらの国へ。」
深々と頭を下げ、
俺に挨拶して来た。
…さっきまでの
愛想の悪さは何処行った。
「お前が入国者番号4179251、
テイトでいいのか?」
「あぁ…テイト・ロッティだ。」
門番が答える。
「そうか、可愛らしい名前だ。」
……畜生、いつも言われる。
親父、お袋も何で
こんなアホな名前を
つけやがったし。
とたんに門番が言った。
「ここには、自我を失い、
この国に居続けるために
自我を残している他人を喰らい、
自我を保っている
そんな輩も腐るほど居る。
気を付けないと、
自我の根強いお前は
そいつらの格好の餌食になって、
喰い尽くされてしまうぞ。」
…そんな気味の悪い言葉を
門番は俺に伝え、門を開けた。
門番たちが声を揃えて言った。
「自我有る者よ、
健やかに、強い意思と信仰の下、
己が力を以て
己が自我を守りたまえ。」
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