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夜、ラジオも聞き終え、
さて寝るか、というとき、玄関の辺りでガタンッ!!と、
大きく、けたたましい音が響いたかと思うと、
嘆きのような、祈りのような、
叫び声が聞こえた。
…まるで、
ちゃちなホラー映画に出てくる
死人の軍団のような…
次に、床を這う音が聞こえ、
俺の居るリビングの
入り口のドアの磨りガラスに
無数の人影が見え、それらの
拳により、ガラスが割れ、
人影が姿を現し、俺を見て、
――笑った。
そいつらは俺の腕や足を掴み、
肉を喰い千切るのに不向きな
その歯を突き立て、
俺の服を喰い破き、
肉を引き千切った。
驚きと恐怖が俺を縛り、
動けなくする。
「な…何なんだよ…こいつら…」
それらを腕や脚に
ぶら下げたまま
後ろに後退しながら
何か身を守るための物を探す。
目に入るのは飲みかけの酒瓶…
ついに
そいつらの一匹が喉元に来た時、
俺は門番や
入国管理者の言葉の意味を
理解できた。
だが、今更もう遅い。
「ぐ…くっそ…
ここで…終わりか…
ち、く…しょ…ぅ……」
血を流し、終わりを覚悟した時、
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