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たらりとこぼれ落ちる一滴の液体が俺の肌を撫でるように伝い、膝元へと垂れた。
腕には力が入らず、抵抗しようにも筋肉が上手く作用しない。
為す術がないとは正しくこのことなのだと思ったその瞬間。
鋭く尖った金属独特の冷たさが感覚神経を刺激する。
その刺激が脳に伝うや否や、金属の先端は音を立てずに皮膚を貫通し、肉を貫き、骨の髄にまで到達した。
極度の緊張により、神経は麻痺し、痛さなど微塵も感じることはなく、液体は最後の一滴まで残すことなく体内に注ぎ込まれた。
死人のように生気をなくし、ただ見開くだけの俺の瞳が捕えた次の映像は、二、三本と次々ポケットから取り出された無数の注射器だった。
それらは一本目のように、じっくりじっくりいたぶるような差し方注ぎ方ではない。
まるで高速で仕事をこなす機械のような動き、スピードで次々と注入は行われた。
俺は何も言えず、何も為す術もなく、為されるがまま、されるがままに身を任せることくらいしか出来なかった。
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