kochel.01:少年が出会いしとき

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 親譲りの正義感からつい余計なことに首を突っ込んでしまう。  父親は真面目なサラリーマン、母親は男勝りの保育士という環境で育ったオレのこの性格は絶対親の遺伝だと思う。  小学生の頃、弱い者いじめをするガキ大将が許せなくて、毎日のように喧嘩をしていた。  相手を大怪我させることも度々あり、親はしょっちゅう相手の家に謝りに行ってた。オレは絶対に謝らなかったけど。  中学生になったらなったでクラスは頼りない新人教師のおかげで荒れ放題。オレは見てられなくて、気に入らない奴に文句を言っては喧嘩をしていた。  昨日、女子のノートに無断でらくがきしていた男子を殴ったら、担任から親に苦情の電話がきた。だから今日、お前の指導が悪いからだろバカ野郎、と暴言を吐いてやった。  こういう日はかなり気分が悪い。元々オレ自身かなり短気だけど、許せないものは許せない。  何となくいつも持ってる木刀を軽く上に投げてキャッチするのを繰り返しながら人通りの少ない赤道を歩く。  ここを通らなくても家には帰れるけど、ひっそりとした感じが好きだった。  投げて、取る。投げて……  しまった!
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