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結局、隊長に無理やり引っ張られ城下町に来てしまった・・・。
「相楽ちゃん。こっちこっち。」
「ちょっ。隊長待ってください。早いです!!」
隊長に追いつくために全力で走る。
「ここの角を曲がったら表通りだから早く!!」
「はいはい。」
俺は走り疲れて息切れ状態だというのに隊長は息一つ乱れることなくはしゃいでいる。
・・・むかつくな・・・。
あれっ?
心なしか表通りが近くなるほど喧騒が大きくなっている気がする。
表通りだから賑やかなのは、当たり前なんだが普段のその賑やかさとは、何か違うのだ。
一足先に角を曲がりきった隊長が満面の笑みで俺が来るのを待っている。
「おいで。相楽ちゃん。」
隊長に手を引かれ表通りに出た瞬間、驚きで言葉を失った。
隊長が城下町に行きたいと駄々をこねていた理由が今わかった。
「・・・お祭りですか?」
俺の目前には、たくさんの出店が並び多くの人が楽しそうに笑っている。
「うん。そうだよ。・・・最近、相楽ちゃん疲れた顔してたし気分転換にでもどうかなと思って。」
「そうだったんですか・・・。ありがとうございます。」
隊長のその優しさが素直に嬉しくてお礼の言葉が口をついて出た。
「・・・。どういたしまして。」
隊長が優しく微笑む。
ドクン
思わず胸元をおさえる。
たぶん今、顔が真っ赤だ。
「相楽ちゃん?」
隊長の顔をまともに見れない。
笑顔一つだけで胸が高鳴る自分がいる。
そしてこの笑顔を俺だけに向けてほしい・・・
そう思ってしまった。
「・・・。隊長には、いつも迷惑をかけられてるんですからその分、今日はたくさん奢ってもらいます。」
そんな自分を知られたくなくていつも可愛げのないことを言ってしまう。
こんな自分がイヤだったりする。
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