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幻想郷に広がる魔法の森。
そこの入り口にある小さな古道具屋、「香霖堂」。
立地条件と店主があまり人付き合いが広くないため、来客が結構少ないながらも密かに経営している店である。
「よう香霖!居るか?」
音を立ててドアを開き、
金髪をなびかせて魔理沙が飛び込むように入って来た。
とりあえず確認と入店は
同時にやるべきではない。
「接客中なんだ、個人的な用なら後にしてくれよ」
「おいおい、美少女が来店だぜ?丁重にもてなせ!」
霖之助は確かにいたが、御得意様の咲夜も一緒だった。
勝手にお茶を入れられたり、妖怪との喧嘩に巻き込まれたり、冬季に月一で商品を盗られたりするなかで、咲夜は数少ないまともな理由で正しく利用してくれる、
言わば「お客様」なのだ。
「ちぇーっ。まあいいや。どうせ暇潰しに来たんだ、奥入るぜ」
魔理沙はずかずかとふてぶてしく店の奥に入っていった。
「店主さん、紅茶の茶葉も少しいただける?」
「ああ、いいものが入ったから持っていくといい。悪魔の妹は元気にしているかい?」
「ええ。あなたにもらったアレも、徐々に壊してしまう回数が減っていってますし」
それはよかった、そう言いながら茶葉の入った缶を咲夜の選んだティーカップと一緒に袋に丁寧に入れていく。
「毎度有難う。」
咲夜が店を出ると、同時に魔理沙が店の奥から出てきた。
「香霖、これ借りてくぜ」
たいした返事を返す間も無く、魔理沙は空へ消えていった。
右手には読み終わった、霊術についての本が抱えられていたのがかろうじてみえた。
「まったく…」
溜め息をついたのも束の間、風と共に天狗が飛んできた。
久々に忙しいな今日は、
ぼんやり考えながらお茶を入れる準備をし始めた。
ちなみに自分の分だけである。
「紫様、先程から何をされているので?」
「楽しいことよ♪」
紫はとても生き生きとした笑顔を向けた。
それを見て藍はこれから起こるであろう大変なことをしなくてすむ方法を考え始めた。
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