第一章 姉妹達

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  日本も勿論被害にあっている。37年時、国内人口は凡そ二億とされていたが、男性の死者約九千万人、女性の死者は約六千万人。国内の75%の日本人はたった一週間で命を落とした。   謎のウイルスに発症したものは年齢が15未満、50以上の人間を容赦なく殺した。これによって人々が危惧していた少子化問題はより深刻に、その反面、高齢化社会は一瞬にして安定に向かった。   結果、世界各国が掲げていた長寿と平和はたった一週間で事実上粉砕されたようなものだった。     「...っと。つまりここまで話したのが私達の生まれた起源のお話。次は37年以降、所謂私達の世界のお話をするからよくきいてね。」   そう言って真希奈は再び口を動かす。   37年以降、世界各国は深刻な少子化、男性不足に陥った。世界の男女比から見て2:8になってしまったのだから当然の事実だった。   しかし人間という種に、さらなる深刻な問題が多発した。   一つは男性の平均寿命が50歳を下回った事だった。謎のウイルスに打ち勝った少数の男性は生き残った代償として皆、免疫力が極端に落ちてしまったのだ。その為、生き残った男達は5年もたたずにさらなる減少を迎える運命が待っていた。   2つに生まれてくる赤子の、男の子として生まれてくる確率が格段に下がった事だった。   更には、生まれてくる赤子からは新たな種の子が生まれた。両性具有者。所謂、女性でありながら男性器を備えた赤子が生まれだした。それによって、母親から生まれてくる子の性別比は男2、女5、両性具有者3という感じになった。(麻希奈は自分が両性具有者だと笑いながらいった。)  
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