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「神父様力持ちだねぇ。ルートヴィッヒと腕相撲したら、どっちが勝つかな?」
「知らん」
呑気なフェリシアーノとルートヴィッヒ。
ヘラクレスの行動に思わず舌打ちしてしまい執事に睨まれるアーサー。と、その様子に大っぴらな忍び笑いを漏らすフランシス。
アルフレッドは大人しくする事に飽きてしまったか、調子っぱずれのハミングを披露している。
少しもたついたものの定位置に揃ったカークランド一行の元へ、ヘラクレスがゆるゆると歩きだした。
その腕に抱えられたままの菊は、子供らしからぬ諦観の無表情を湛えている。
「おかえり~」
「只今戻りました」
「此処に坐るといい」
フットマン達と言葉を交わす。ようやく自座に着く事が出来たページボーイは知らず深く嘆息したのだった。
「……そして御使ガブリエルがマリアの処を訪れ、云った……」
礼拝の後。
神父の長く、長い説教はいまだ終わる気配無く続いていた。
特に今日は福音書の朗読であったので、文字の読めない者には酷な時間が延々と過ぎてゆく。
退屈して身じろぎしたり、足をばたつかせる子供が出始めてもお構いなしだ。
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