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だから、意味も無くただ虚空を見つめるという癖が付いてしまった。
要は現実逃避なのだろう。
そんな私には、当然の事ながら友達は少ない。
親友と呼べるのは、小学校から中学校まで同じな優子と、中学校は違うが小学校の時に仲の良かった郁美(いくみ)だけだ。
他の友達もいるが、どうしても疲れてしまう。
遊んだ後は必ず気疲れを起こし、頭痛に寝込んでしまう。
それというのも、遊んでいる最中に変な癖は出ていないか?
自然に笑えているか?
そんな事ばかり考えていたからだ。
気を遣う友達といても面白くない。
そんな思いから、遊びの誘いを避けるようになる。
気付けば私を誘う友達は少なくなり、友達が友達ではなくなっていく。
だが、優子は違った。
明るくて人目を気にしない、少しやんちゃなタイプの優子は、私が何度誘いを断ろうとも、何度でも誘ってくる。
キツい言葉で誘いを断ろうとも、全く気にしないで、
「次は来いよー!」
そう去っていき、また誘いにくる。
始めは疎ましく思えた性格も、いつしか本音を言い合える仲となっていた。
そんな優子の親友が郁美だったから、三人で遊ぶ機会も増え、同じように親友と呼べる間柄となった。
家は近いのだが中学の違う郁美とは、少しずつ疎遠となってきていた。
しばらくは私と郁美と二人きりで遊ぶ事もあったが、中学校からは優子が連れて来るから会う。
そんな関係だった。
「そういえば郁美がまた男変えたんだって!」
郁美は少し、男に対して尻が軽いところがある。
小学生で初体験を済ませていたような女の子。
中学一年の優子にも彼氏はいた。
だからそういう話題には敏感な優子が、声を大にして郁美の話をする。
「そっか。」
それに対して私は、祖父からの性的虐待もあり、男性恐怖症に近いものがあった。
クラスの男子でさえ、話掛けられるとビクッと身体を震わせてしまう。
その為、私には彼氏などいらないと思っていた。
だが、ある出来事をきっかけに、優子より早く初体験を済ます事となるのだった。
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