ご主人様…死んでください。

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橘様は渋々ベッドから起き上がり着替えを始める。 私も急いで制服に着替えるために自分の部屋へと戻った。 私の部屋は地下にある。 窓は当然ないが、一人になれるこの空間がとても好きだった。 必要最低限のものしか置いてないのは、父と兄の作った借金のかたに全て持っていかれてしまったからだ。 もし…碓井様がいてくれなかったら今頃私は借金のかたに売春でもやらされていてもおかしくなかった。 本当に碓井様には感謝してもしきれない。 私は手早く支度を済ますと玄関へと向かった。 「あ―――!奈瑠こっちこっち!」 玄関先には四台の高級車が止まっていてそのうちの一台の前で名執様が手招いていた。 いつものように私は裏の車庫からとってきた自転車にまたがって名執様の横を通り過ぎる。 あいつらとあんな狭い空間にいるなんて考えられない。 だいたい歩いて10分もかからない道のりをわざわざ車で行くか? しかし、この学校の生徒の大半が車で通学していた。 道が混み合うのではないかと思われがちだが、この学園は恐ろしく広く、そして道もそれように作りれていた。 多分自転車で通学している生徒なんて私を含んでそういないのだと思う。 一応自転車置き場は存在するが、あまり止まっているのを見たことがない。 とにかく…校門から教室までがやたら遠い学校なので私は力強くペダルをこぎ出した。 案の定だが、私の前を三台の車が通り過ぎていき、橘様は今日も遅刻が確定した。 たまに…いや、極頻繁に投げ出したくなりますが…碓井様のご好意を無駄にはできないと思って日々がんばって生きているのです。が…やりきれないときもあります… 「今日は遅刻してこなかったのね秋乃さん(アキノ)。」 またでた… 私は小さくため息をもらす。
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