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凌「そうだな。店を初めてすぐに、割れやすいから、違うグラスに変えていったんだ。
でも、彩が気に入ってたから、あの頃、既に、彩が来たときしか、使ってなかったんだよ。
だから、彩が居なくなったときから、このグラスは使ってないんだ。
っていうか、彩が居なくなってから、俺はこの店には、ほとんど居なかった。
まさか、大翔がな。大事に保管しておいてくれてたとはな。」と、グラスを見つめていた。
昔から、凌にとって、彩は、特別だったのね。
という、玲子さんの言葉が聞こえた気がした。
私は、残っていたビールを飲み干した。
私「凌、ありがとうございました。あの頃、全然気がつかなかった…。」
凌「あの頃の俺が、彩にしてやれることは、好きなグラスに好きなビールを注いでやるぐらいだったし、それさえ、してやれない時の方が多かったよ。
お礼なら、大翔に言わないとな。本当に、大翔には、頭が上がらないな…。」と、空のグラスをマスターに渡した。
マスター「彩さんも、もう一杯いかがですか?」
マスターは、新しいグラスを取り出した。やっぱり、私の好きなグラスに、ビールが注がれる。
彼が私を大切に思ってくれていたこと、
大翔も、私を大切に思ってくれていたことが伝わり、涙が溢れた。
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