序章 羽ばたきの始まり

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その夜、私はお父様にお許しを頂いて夜の村を散歩していた。 決まって三日月と満月の日に私は寝付けないのだ。 「…」 ただ、行く当ても無く散歩するだけ。 聞こえてくるのは風の吹きかける音や小川のせせらぎだけだ。 私は以前、散歩し見つけ出したある場所へ向かおうと歩き出していた。 「あれは?綴様でねぇべか?」 「月夜の散歩だべか?逢坂家の御息女が外に出てるなんて珍しいべ」 村人達の挨拶に会釈しつつ歩き続ける。 そう、村人達にとって私や結の産まれた逢坂家を始め、黒澤家、桐生家、立花家は村の御四家なのだ。 祭の日はそれぞれの当家が祭の準備を担当する。 逢坂家は祭の双子を清める事だ。 清められた双子は逢坂家で生活を始める。 なんでも穢れから双子を護る為だとお父様から聞いたことがあった。
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