第一章 紅引き

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私はその日、桐生家に招かれた。 現・桐生家は当主は影義様が務めている。 「先ず、私を招いた理由をお聞きしたいのですが」 うむ、と唸るような声を出すと影義様は口を開いた。 「今年の祭は御子が務めた…。次の年は巫女がXに求められる」 「それはつまり…私達姉妹が選ばれる事があり得ると。そう、仰りたいのですね?」 「その通り、綴様は[蝶]を見たそうですな?」 あの日に見た事を隠しても無駄だと分かってるだけに私は隠さなかった。 「はい、私は見ました。まだ結は見ていませんが」 「結様はまだですか…。確か逢坂家では綴様が姉君でしたかな?」 「そうです。私が逢坂家の長女です」 影義様は改めて確認するかのように私に訪ねて来た。
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