300人が本棚に入れています
本棚に追加
青い海、青い空、灼熱の太陽。
隣には、サングラスを掛けた花嫁がいる。
真っ白な砂浜に、2人はビーチベンチに寝そべっている。
山下、旧姓野村は新婚旅行に来ていた。
「美千代、泳ごうか!」
「あなた、お酒飲み過ぎでしょう」
「そうだな、鮫に追われたら、逃げられないな」
「ここには鮫はいないでしょう」
「フフフ、ジョウズダン」
「ほんとうにもう、下手なジョークはもうやめて」
2人は水着姿で、ゆったりとした真夏の浜辺を楽しんでいる。
2人は関司令の仲人で、防衛省ビル大会議室で結婚式を挙げた。牧師役は磯幕僚長が勤め、三原首相はじめ、各大臣が出席した。天皇陛下からも使者が来た。盛大な結婚式で、二人は死が分かち合うまで愛を誓った。
「艦長!」
「もう、また来たよ」
「あいつ、魚釣りでもしていればいいのに」
「艦長!」
「近藤が、ハブに襲われています」
中谷が、浜辺に林の中から駆け出してきた。
「心配すんな、手刀で一刀両断する。ハブも近藤を襲った事をもう後悔しているはずだ」
「艦長!」
近藤の声がする。
折角の新婚旅行が台無しになった。
真っ白なビキニ姿で、豊満な胸を揺らせて近藤が、両手に真っ二つになったハブを持って走りよる。
「これ、焼いて食べれないのですか」
「もう、あなた達は!」
美千代が怒鳴る!
「あっ、済みませんでした。おじゃましました。行くよ!」
近藤が、中谷を引っ張って行く。
「もう勘弁して、またハブが来る!」
「今度はマングローブの林でデッカイ蟹を捕まえる」
中谷は渋々、近藤に着いて行く。
近藤と中谷は、2人の警護役で来たのだが、2人より南国の無人島を満喫している。
海岸には流星号が二隻停泊し、その後ろの海域ではイージス艦ふじが2人を守っている。空には二機の戦闘ヘリが高高度を旋回している。岩場の陰、林の中には小銃を構えた兵士が秘密裏に警護している。サミット会議なみの警備体制を取っている。
「やっぱり、私達は落ち着いてゆっくりできないのね」
「そうだな、流星号を盗むしか俺達のプライベートはない」
「盗んでタイでも行きましょうよ」
「ゆっくり作戦を立てよう」
最初のコメントを投稿しよう!