新婚旅行

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青い海、青い空、灼熱の太陽。 隣には、サングラスを掛けた花嫁がいる。 真っ白な砂浜に、2人はビーチベンチに寝そべっている。 山下、旧姓野村は新婚旅行に来ていた。 「美千代、泳ごうか!」 「あなた、お酒飲み過ぎでしょう」 「そうだな、鮫に追われたら、逃げられないな」 「ここには鮫はいないでしょう」 「フフフ、ジョウズダン」 「ほんとうにもう、下手なジョークはもうやめて」 2人は水着姿で、ゆったりとした真夏の浜辺を楽しんでいる。 2人は関司令の仲人で、防衛省ビル大会議室で結婚式を挙げた。牧師役は磯幕僚長が勤め、三原首相はじめ、各大臣が出席した。天皇陛下からも使者が来た。盛大な結婚式で、二人は死が分かち合うまで愛を誓った。 「艦長!」 「もう、また来たよ」 「あいつ、魚釣りでもしていればいいのに」 「艦長!」 「近藤が、ハブに襲われています」 中谷が、浜辺に林の中から駆け出してきた。 「心配すんな、手刀で一刀両断する。ハブも近藤を襲った事をもう後悔しているはずだ」 「艦長!」 近藤の声がする。 折角の新婚旅行が台無しになった。 真っ白なビキニ姿で、豊満な胸を揺らせて近藤が、両手に真っ二つになったハブを持って走りよる。 「これ、焼いて食べれないのですか」 「もう、あなた達は!」 美千代が怒鳴る! 「あっ、済みませんでした。おじゃましました。行くよ!」 近藤が、中谷を引っ張って行く。 「もう勘弁して、またハブが来る!」 「今度はマングローブの林でデッカイ蟹を捕まえる」 中谷は渋々、近藤に着いて行く。 近藤と中谷は、2人の警護役で来たのだが、2人より南国の無人島を満喫している。 海岸には流星号が二隻停泊し、その後ろの海域ではイージス艦ふじが2人を守っている。空には二機の戦闘ヘリが高高度を旋回している。岩場の陰、林の中には小銃を構えた兵士が秘密裏に警護している。サミット会議なみの警備体制を取っている。 「やっぱり、私達は落ち着いてゆっくりできないのね」 「そうだな、流星号を盗むしか俺達のプライベートはない」 「盗んでタイでも行きましょうよ」 「ゆっくり作戦を立てよう」
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