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君は僕の太陽5
朝練は散々だった。
タンブリングもいつもより跳躍が足りなくてイマイチだし、鹿倒立も維持できない。
まぁそれは他人から見ると、一度や二度の失敗としか取られない微量なものだったんだけど、俺のプライドが許さなかった。
終わった今も、教室で携帯を弄るフリをして頭では反省会がまだ続投中だ。
航関連の事となると、俺の身体は真っ先に反応するようになっている。
それで航が別の奴と喋っているのを目の当たりにすると苛立ってしまうのだ。
特に、傍にいてやれない時は尚更ムカついて。
ふと頭の中で、あのストイックな男前の顔が出てきた。
航だけに向ける柔らかい眼差し、不器用だけど優しい手。
…つり上がった口元。
思い出してまた心臓の辺りがざわつき始めた。
─ああもうマジでムカツク。
一限目はサボり決定。
そうとなれば、俺の足は勝手に教室を抜け出していた。
教室へ向かう生徒の波に逆らいつつ、さて何処へ行こうか、と模索した。
フケるには絶好の場所といえば、裏庭か屋上か。
そこまで考えて、思い付いた。
俺はある考えが浮かび、そこへ向かう事にした。
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