32人が本棚に入れています
本棚に追加
「いてぇ!!!」
隅の方から悲鳴が上がって反射的に振り向いた。
「………航。お前もう少し足開け」
「これ以上無理だっつーの!!痛すぎるっ」
「その角度じゃする意味無ぇだろ。ほら、あと少しでいいから開け」
「う…。……わぁったよ。ああもう痛ぇんだよコレ…」
ブツブツ呟きながら精一杯足を広げる航と、そのすぐ後ろに立っている木山の姿があった。
─よりによってアイツが航のペアなんて。
無意識に肩に力が入ってしまった。
「亮介、どうしたの?俺押しすぎた?」
「あっ…悪い。何もねぇからそのまま押してくんね?」
「うん。………あの二人って本当に仲良いよなー」
「っ……。何、まだ気になっちゃう感じ?」
「ううん。あの頃みたいにもうそれはないんだけど、仲良いんだなーって」
ふっと柔らかく笑って、水沢は続けた。
「航はいっつもうるさいって感じだけど…あっ勿論良い意味でね。それで、木山は無愛想でしょ。陰と陽っていうのかな、それがいい具合に保たれてる」
水沢の言葉を聞きながら、俺は唇を噛み締めた。
─ヤバい…水沢に悪気は無いのに今すぐ黙らせたい。
航とアイツの事なんか聞きたくない、と耳が拒絶反応を起こして頭が痛くなる。
最初のコメントを投稿しよう!