君は僕の太陽4

4/4
前へ
/130ページ
次へ
もう一度航に目をやると、航の肩を押していた木山が此方を向いた。 手を止めたアイツと視線が絡み合う。 向こうがどう出るか、俺が注意深く見ていると。 木山は訝しげに目を細めたと思いきや、器用に片方の口角を引き上げた。 「ッ……!!!」 ドクンと心臓が音を立てて鳴った。 と同時に目の前が一瞬で赤に染まる。 頭がグツグツと煮えたぎり、ここが体育館でなければ怒鳴り散らしているところだ。 ─あの野郎…っ、こっちが手ェ出せねぇのをいい事に…!! きつく睨めば、奴はさも興味をなくしたように視線を外した。 そしてあろう事か、いきなり中断されて見上げる航の頭を優しく撫でている。 優しく置かれた手のひらは撥ね付けられる事なく、気持ち良さそうに目が閉じられた。 噛み締めた唇から錆びた鉄の味がして、やっと頭が冷めてきた。 周りが元の色彩になるのをぼんやりと眺めていると、いつの間にか正面にいる水沢が困ったような顔をして見ていた。 「…何だよ水沢」 「亮介」 「だから何、」 「…ごめんな」 「………は?」 言葉に詰まりつつ聞き返すが、水沢は『何でもないよ』と笑って流してしまった。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

32人が本棚に入れています
本棚に追加