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「…二兎追う者は一兎をも得ず、ってね」
木山の言う通りだ。
俺は隣にいる【今の状態】と【今欲している状態】と、二ついっぺんに手に取りたいのだ。
「…無理だっつーのに」
想いを告げればもう隣になんて居られない。
だけど想いを留める事ももう限界なのだ。
触れられた親指をじっと見つめる。
柔らかい唇が包む感覚に、下肢が熱くなる。
「………マジ限界。洒落になんない」
目を閉じて、航を思ってマスターベーションするのは今回だけじゃなかった。
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