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立ち止まった俺に、少し遅れて気付いた航が戻ってきて首を傾げる。
「具合悪そうだな、やっぱそんなに痛むか?」
「、…な~に言ってんの!俺らある意味では毎日身体動かしてたじゃん」
心配そうな顔をさせたくなくて胸の痛みを拭い去るように、はにかんでやると、航も笑う。
「そうだな、けど無理すんなよ。お前の怪我なんてもうあれだけで十分だ」
「それを言うなら航も、なっ」
航が少し前に俺が自暴自棄になって犯罪行為に染めかけた時の事を言ってるのは考えなくてもわかった。
そして航が駆け付けてくれたのに、当時の俺はただ殴られるのを見ることしか出来なくて。
それなのにコイツは2年前と少しも変わらない、救う手を差し伸べてくれたんだ。
そしてまたあの時と同じようにオムライスも食わせてくれて。
あんな風に自分が自棄を起こすのも、航を傷つけるのももうごめんだ、と心の中で呟いて。
一歩前を歩く航の肩をギュッと抱いた。
華奢な肩がちょっと竦み上がるのが楽しかったりするんだよな、これが。
「あっちぃよ!デカイ図体してるくせにくっつくな!」
「いーじゃん。…ね、このまま部活行こ?」
「ばーか」
ぶっきらぼうに暴言を吐きつつも、頬が微かに紅いのを認めて。
そのまま階段を降りると、丁度HRを終えた日暮里が駆け付けてきた。
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