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「早かったね。ぜんぜん迷わなかった?」
強引な僕に戸惑ってたはずだけど、それでも沙耶ちゃんは笑顔で出迎えてくれた。
「うん。急に……ごめん……」
今さら謝るなんてしらじらしい。心の中で苦笑いした。
「まぁ、せまいけど上がって?」
「……おじゃまします」
ちきんと整頓されたワンルームに上がり、とりあえずソファにちょこんと座る。
「なんか飲む?つってもお茶しかないんだった」
「あ……気にしないで?ホントごめん。無理やり来て……」
「そんなこと……」
テーブルに置いたグラスに彼女がお茶を注いでいく。
「こんな美形くんがうちにいるなんてむしろ嬉しい限りだよ。……でも、どうしたの?」
「…………。」
不審そうに僕を見る沙耶ちゃん。
そぶりからして“警戒”ではなく、心配しているみたいだった。
「もしかして真太郎のこと?なんか相談でもあった?」
「……ううん、そうじゃなくて」
「遠慮しないでグチっていいよ?何気に心配だったんだよね。ほら、あの人変に口うるさいとこあるじゃない?」
「……かなぁ?めっちゃ優しいよ?」
「えー?ウソー」
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