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彼女がするマネの話を、僕は苦々しい思いで聞いていた。
…―ちがう。
こんなことが話したいんじゃない。
もっと僕の……。
僕のことを聞いて……?
「あ、そういえばこないだ真太郎にさー……」
またマネの話か。
理不尽な嫉妬がこみ上げる。
「ジェジュンくんたちの韓国版のアルバムもらったんだけど」
「アルバム?」
「うん、その中にすっごい鳥肌立った曲があってさ~。なんて曲だったかな」
「えー?なんだろう。気になる」
「えぇっと、ちょっと待ってね」
ひょいっと立ち上がった沙耶ちゃんがCDラックへ向かう。
「確かこの辺につっこんだはずー」
音もなく、僕は彼女の背後にそっと忍び寄った。
振り向いた沙耶ちゃんは当然、すぐ近くにいる僕に驚いて、大きな目をさらに丸くする。
「ねぇ、マネのこと……好き?」
動揺する間すら与えず聞いた。
「え……?」
「答えて?」
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