175人が本棚に入れています
本棚に追加
白とオレンジを基調とした、日だまりのような沙耶ちゃんの部屋。
気だるそうに僕の隣で横たわり、じっと僕を見つめる彼女の髪にそっと触れた。
「ずっと……。ずーっと、こうしてたい」
無意味だとわかっていても、言わずにはいられない。
「……ごめんね」
悲しげな顔で沙耶ちゃんが答えた。
あと少しすれば何事もなかったように日常が始まり、彼女はマネのところへ行ってしまう。
同じようにマネを求め、マネに抱かれ、そして僕のことを忘れてしまうんだ。
「……イヤだ。」
ただっこのように、僕は沙耶ちゃんにしがみついて胸に顔を埋めた。
「ジェジュンくん……。イヤならもう……」
会わないほうがいい。
これまでにも、何度も話し合ったことだった。
それだけは無理。どうしても受け入れられない。
沙耶ちゃんも、それを知っている。知ってて、僕に抱かれている。
なんで……?
「またね」
短いキスを残し、僕は彼女の部屋をあとにした。
そして、また彼女を求めにここにやってくる。
…―永遠に手の届かない人。
でも、それでもいい。
僕の腕の中にいるときだけは、僕だけのものだから――…。
最初のコメントを投稿しよう!