69人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
彼は私に何を望んでいたのだろうか。
もう、それを確認する術もない。
すべて終わった。
いや、終わってしまった。
彼が、あの片腕で消し去ってしまった。
私はただひたすらに、最後に見た彼の姿を、表情を、最後に聞いたあの言葉を、旋律を思い出していた。
今はもう燃えているだけの残骸。
それが古くも小綺麗だった洋館の頃
この建物の中で何が起こっていたのか、
私が何をしていたのか、
もう一度、思い出してみよう。
最初のコメントを投稿しよう!