第1章 * 告白の罠

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「話したい事がある」 「・・・・・・・」 何かを強く決心したような目。 呼吸すら許されない様な 圧迫感に包まれた空気。 …言葉が出てこない。 "驚き" 以外の感情が 浮かばない。 期待でもなく恐怖でもない、 ただ驚きが渦巻くだけ。 こんな文也を、私は生まれて 初めて見るのだから。 ――文也は私を見つめながら、 一瞬ためらうと口を開いた。 「・・・ずっと好きだった。 世鈴の事。」 ――目を、そらせない。 心ごと全てを 吸い込まれるような感覚。 さっきの人の告白より 短い言葉なのに、 この圧倒な存在感が、 私の冷静心を乱してしまう。 「・・・文也が、私を・・・?」 震える声で弱々しく聞くと、 文也はただまっすぐ頷いた。 小さい頃から ずっと一緒にいるから、 その気持ちの程度は分かる。 文也の告白は 他の男子とは違う。 きっと、ううん絶対、本気だ。  
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